毎年恒例のベストは下記の通り。
2023年新作ベスト (鑑賞本数58本)
1位『ファースト・カウ』
2位『AIR エア』
3位『オオカミの家』
4位『BLUE GIANT』
5位『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
6位『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』
7位『SHE SAID その名を暴け』
8位『ソウルに帰る』
9位『怪物』
10位『首』
<次点>
『ザ・キラー』
『アステロイド・シティ』
『キエフ裁判』
『ファースト・カウ』は非映画的ともいえるキャラクターをあえて中心に置き、ケリー・ライカートは素晴らしい映画を撮った。
偶然再会した流れ者のぼろ屋を初めて訪れた主人公が自然に箒を掃き、その画面奥で薪を割る流れ者と重なるシーンを観た時にお互いの機微だけではなく、男性的あるいは女性的なものも同居させてしまうケリー・ライカートに心底感動した。
『AIR エア』はアルドリッチ的な男のドラマに仕上がっていた。ジョーダンの母親を口説き落とそうとするマット・デイモンの顔が忘れられない。ベン・アフレックは傑作『ザ・タウン』から俳優の顔を取ることに長けていたし、この先ももっと観たい監督。
『オオカミの家』は二日酔いの頭で観てしまって申し訳ないと思いつつ、それでも絵を書き足し、上書きすることすらも映像に取り込んでしまう大胆さにやられた。
旧作ベスト(鑑賞順/鑑賞本数31本)
『スモーク デジタルリマスター版』(キネカ大森)
『恋する男』(シアター・イメージフォーラム)
『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(YEBISU GARDEN CINEMA)
『書かれた顔』(横浜シネマリン)
『クリーン』(Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
『怪人マブゼ博士』(シネマヴェーラ渋谷)
『奇跡の海』(横浜シネマリン)
『ドッグヴィル』(Stranger)
熱烈なトリアーファンの友人に薦められて、彼のレトロスペクティブに通った。神経質でシニカルな作風は苦手だからと今まで距離を取っていたことを後悔。主人公を徹底的に追い込む劇薬のようなドラマは二度と観たくないと思わせるけれども、手持ちカメラで常に追い続けるその執着というか覚悟が画面からびしびし伝わってくる。特に『ドッグヴィル』は冷え冷えとしたセットも相俟って凄まじい。
自宅ベスト(鑑賞順/鑑賞本数46本)
『高野交差点』
『東京流れ者』
『お早よう』
『御法度』
『ストリート・オブ・クロコダイル』
『蜜蜂と遠雷』
『忘れられた人々』
『こどもが映画をつくるとき』
『打鐘~男たちの激情~』
自宅で映画を観る集中力と体力が年々落ちている中でも面白かった10本。ゼメキスは少し続けて観たりしたけど、彼以外の監督は集中的に観られなかった。今年はカウリスマキから始めるつもり。
読書
『「雨の木」を聴く女たち』 大江健三郎
『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』 若林正恭
『さくら日和』 さくらももこ
色んな人に教えてもらった本を読んで、感動したり驚いた一年だった。やっぱり自分の趣味だけを読んでも限界があると思う。今年は積ん読中の『百年の孤独』と他の南米作家も読みたい。