『ソーシャル・ネットワーク』 デヴィッド・フィンチャー

フェイスブックを立ち上げた主人公のザッカーバーグが彼女と向かい合うファーストシーン。あるいは友人エドゥアルドとの訴訟の場面。ザッカーバーグは常に人と対面(対立)するが、相手に対する理解を一向に示さない。かなり変わった人物として描かれている。そんな彼に愛想を尽かし、1人、また1人と席から去っていく。天才で変わり者であることを示すために、彼の隣には誰もいないのだ。けれど投資会社のオフィスのシーンで、ショーンがザッカーバーグの隣に座っていた。ショーンもかなりの問題児とはいえ、もう1人の天才だった。天才だけが天才の隣に座ることが出来る。言い換えればショーンはザッカーバーグの唯一の理解者だったのだ。
物語のラスト、「友達になる」ために、彼のアップと元カノのアカウント画像の切り返しがある。鋭く、細かい会話のやりとりが本作の特徴である。まさに<顔>の映画だったことを思えば、これ以上の素晴らしい締めくくりはあり得なかったと思う。